◆2014.05.4-05.7 米国音響学会に参加しました!◆

米国の音響学会は、年2回(春と秋)大会を開催しています。約1000件の研究発表があり、世界中から「音」に関わる研究者が集まります。今年の春の大会は、第167回大会でありRhode Island州のProvidenceで開催されました。私自身はこの学会は3度目の参加となります。第151回大会(やはりProvidence)と第160回大会(Cancun, Mexico)においても招待講演を行いました。今回は、RUS(共振超音波スペクトロスコピー法)のパイオニアの一人、Maynard先生(ペンシルベニア州立大学)から講演依頼を受け、圧電体に対するRUS研究の招待講演を行いました。

Maynard先生とGladden先生(ミシシッピ大)が立ち上げた音響物理のセッション名は、「Beyond Basic Crystals: Viscoelastic and Piezoelectric Materials」。この名の通り研究発表の内容は、2つに分かれており、圧電体に関する内容か、生体材料やミセル材料などのソフトマテリアルの粘弾性挙動に関する内容でした。Maynard先生のグループからは、圧電体の上下2面に金属薄膜を成膜し、成膜する前後での共振周波数の変化から弾性定数と圧電定数を決定する、という内容でした。彼らも従来の圧電定数の測定法(共振反共振を用いた手法)がかなり問題があると理解しており、RUS法の圧電体に対する重要性を訴えていました。

ソフトマテリアルに関しても興味深い研究が報じられました。例えばGladden先生の発表では、ミセル流体中の横波の伝播に関する研究を紹介しました。コロイド溶液のようなものです。面白いのは、周波数が50Hz程度と低く、このときの横波の音速が50cm/s程度とめちゃめちゃ遅いことです。横から光を当てると、横波が伝播する様子がリアルタイムで見えます。平尾研のコロイド研究に深く関わる現象ですね。

学会会場には、Mr. RUSとして名高いロス・アラモス国立研究所のMigliori博士がいました。相変わらず親しみやすい方で、発表している最中に質問したりしていました。「オギ、お前の発表のパワポを送ってちょ」と言う感じ言われて、送ったら、「Thank you!!」と2語の返信メール。さすがに大物

さて、Rhode Islandは最も面積の小さい州として有名ですが、歴史が長く、かなり古い建造物が多く残る街です。ホテルのすぐ横に古い教会がありました。天気も良く、美しい姿が映えています。

1800年代初旬に立てられたグレイス教会。

学会後、ブラウン大学のMaris先生が日本レストランに招待してくれました。有名作家にちなんでいるのか、オーナーの名前がそうなのか分かりませんが、「Haruki」という名前の料理店です。Maris先生はしきりに日本人の口に合うかどうか、気にされていましたが、はっきり言って美味しかったです。トンカツ弁当を注文してとても美味しかったんですが、とても量が多くて、最後まで食べるのにとても時間がかかりました^^;)その後、丁寧に運転されるMaris先生の車でブラウン大学へ行き、様々なトピックについて議論しました。

ブラウン大学といえば私はやはり音響物理が頭に浮かびます。A. Hikata, R. Truell, C. Elbaum, B. Chick,…など、我々音響物理に関わる研究者からすると雲の上の存在のような有名な先生方が多く研究されていました。もちろん、Maris先生もその一人であり、言わずと知れたピコ秒超音波の創始者です。

学会のあいた時間帯に、RITEC社へ行き、超高周波超音波計測装置に関する議論を行いました。RITECといえばChickさんが創始者の一人です。そうです。ブラウン大の音響物理研究室を支えられてきた上述のChickさんです。平尾研の多くの計測装置も作ってもらってきました。なんと、88歳の誕生日を迎えられたとか。でも、まだまだ現役で活躍されている様子で、本当に頭が下がります。いまなお愛車のキャデラックを運転されているようです。私のような若輩に対してもいつも丁寧に上品に振る舞ってくださり、まさに、Gentleman!



左から、トムさん(Maris先生のところでPhDを取得した人)、チックさん

さて、Providence最終日はPhysical Acousticsのセッションが再びありました。ここでは、Miglioriさんをはじめとするロス・アラモス国立研究所の面々がRUSを用いた多くの研究を発表しました。Miglioriさんの招待講演はさすがの発表でした。Natureに掲載された最近の高温超伝導体の超伝導遷移にともなう弾性定数測定の結果や、低温・高温でいかにしてRUS測定を行うか、などのノウハウを丁寧に説明してくれました。「阪大では非接触測定してるけど、我々はまだ接触測定してるからこんな苦労してるよ」みたいに、ちゃんと平尾研の宣伝もしてくれてました。発表が終わると、質疑応答しながら会場を去って行きました。忙しかったのでしょう。リュックにPCをしまいながら一つ目の質問に答え、リュックをかついで会場の出口に歩きながら、2つめ、3つめの質問に答えていき、そのままフェードアウトしながら出て行きました。さすが、大物

その他、非線形を利用した非破壊検査などの発表もあり、とても充実したセッションでした。

しかし、いつも感じますが、米国の研究者は本当に個性が強いですね。今回会った方々だけでも相当バラエティに富んだ個性を持っておられました。極めてアクティブで破天荒なMiglioriさん、クールな天才Maynardさん、清楚で紳士なMaris先生、仕事を遥か別次元で極められている強靭な精神の持ち主Chickさん、そして、情緒豊かな天才Ledbetterさん。。。しかも、どなたもずば抜けて研究がすばらしいわけですから。

さて、学会も終わり、いよいよ帰路につきます。まずはシカゴへ飛び、翌日、成田経由で大阪へ。4泊6日のハードなスケジュール。時差ぼけが解消しないままの帰国となりました。RITECのMichaelが仕事が忙しいにもかかわらず、ホテルまで来てくれて、空港まで送ってくれました。なんて優しいんだ君は!息子さんのラクロスが上達することを祈っているよ。


長蛇の列を予想していた空港はガラガラ。しかもタッチパネルにてチェックインのため、瞬時にチェックインが終了。めちゃめちゃ時間があまったおかげでこの記事を仕上げました。さらば、Providence。またくるとおもうよ。

by Mt.Princeton