論文執筆心得(英語・日本語共通)

学生の皆さんが研究論文を書いて発表する機会が増えています.私自身が文章を書くとき気にしていることをまとめました. インパクトのある論文に仕上げる一助になれば幸いです.

A.書き始めるにあたって:

 1.学術論文は永遠に残る記録である.全力を傾けて執筆し,結果に責任を持つ.

 2.過去の文献を調べ,自分の研究の意義・価値・位置づけを認識する.

  ・陳腐な結果を発表しない勇気を.

  ・すでにわかっていることと新しい知見・成果とを区別する.

  ・オリジナリティーを強調する.ただし,独りよがりに注意.

 3.ひとつの論文にひとつのメッセージ.

 4.書くことは考えること,自分との対話である.

  ・書くことによって考えが方向付けられ,固まってゆく.

  ・すっぱり言い切れるまで考察を煮詰める.

 5.読者の立場に立った姿勢で.

  ・投稿ジャーナルを選択し,読者の予備知識を(ある程度)想定する.

  ・まず読んでもらえる論文に,そして正しく理解してもらえる表現に.

  ・読者を,最短経路で紛れることなく自分の主張するところに導くあらゆる努力をはらう.

  ・受け入れやすい展開を工夫する.「起承転結」が基本パターン.


B.テクニカルな諸注意:

 1.自然な話の流れ,飛躍のない記述を心がける.

 2.客観的事実と主張・意見・ディスカッションを区別する.

 3.やさしい普通の単語で具体的に表現する.使うべきでないのは,奇をてらった大げさな単語,

  抽象的な言葉,あいまいな表現.

 4.最も簡潔で,リズミカルな表現をめざす.具体的には,

  ・短文を使う.

  ・動詞を生かす.

  ・できるだけ能動態を使う.

  ・できるだけ否定形・修飾詞・接続詞を避ける.(特に英語の場合)

  ・同じことを繰り返さない.(アブストラクトと結論は別)

  ・1つの文章に1つの情報を.

  ・段落の最初に主題・概論を,説明・詳論はこれに続く.

  ・最適の表現・単語を見つける努力を続ける.

  ・本当に必要な記述であるか精査して,不要部分を切り捨てる.


C.書き終わったらチェックし,満足するまで書き直す:

 1.頭の中で考えていること,言いたいことと目の前の文章とが一致しているか厳しく自問する.

 (この作業が最も重要.これによって思考が整理され,論理の筋道が見えてくる.)

 2.読者にとって親切か,いらいらさせる記述になっていないかを,できれば時間をおいて見なおす.

 3.先生・先輩に読んでもらって,議論を重ねる.


D.ちょっとしたコツ:

 1.まず書きやすい部分から始める.

 2.関連論文を読んで,その分野の専門用語を収集する.

 3.スペルチェックをかけて単純なミスをなくす.

                              (平尾記)