配管の減肉検査法の開発


美浜原発における配管破損事故に見られるように、配管の減肉検査は発電プラントの保全管理において最も重要な課題のひとつですが、全ての配管の検査を行うことは容易ではありませんない。そこで、本研究では従来の減肉検査法の弱点を克服する新たな検査法の開発を目指しています。従来法としては渦流探傷法や圧電振動子を用いた超音波探傷がありますが、これらの手法は検査可能な領域が試料表面から3mm程度に限定されてしまう、試料に音響結合材を塗布しなければならないといった問題点がありました。そこで、本課題では電磁超音波センサ(EMAT)を使って配管内に円周方向に伝ぱするSH波を励起・検出して探傷を行う手法を提案します。SH波とは平板内を伝ぱするせん断波で、板厚に依存して伝ぱ速度が変化します。つまり、SH波が円周方向に一周するのに要する時間を測定することで配管腐食の有無とその程度を把握することができます。ところが、段差を通過する際のSH波の挙動についてはこれまでに解明されておらず、伝ぱ速度に基づく検査法は提案されていません。本研究では減肉箇所でのSH波の挙動を解明し、提案する手法の検査手法としての有効性を検証しています。

SH波は同じ周波数であっても伝ぱ速度の異なる複数のモードが存在し(n=0,1,…)、段差を通過する際にはかならずしも同一モードのままで伝ぱするとは限らず、他のモードに変換されることがあります(下図参照)。しかしながら、減肉(段付き)箇所でのモード変換については未解明であります。モード変換には(I)のように伝ぱ速度の変化がより顕著になるものもあれば、(II)のように速度変化がほとんど現れないものもあります。減肉評価には(I)のモード変換が有効であることは言うまでもなく、探傷に使うSH波のモードとモード変換の関係を調べ、減肉検査に有効なモードの選定を行っています。

<参考文献>

  • 中村暢伴,Silvina Uribe,荻博次,平尾雅彦,“電磁超音波センサによるSH板波のモード変換を利用したパイプの減肉検査”,非破壊検査,第58巻10号, 452-458(2009).
  • S. Uribe, N. Nakamura, H. Ogi, and M. Hirao, “Mode Conversion of SH Guided Waves at Defects for Pipeline Inspection”, Review of Progress in Quantitative Nondestructive Evaluation, 28B (2009) pp.1550-1557.

(最終更新日:2010/11/16)